市営住宅で暮らしていると、
「朝起きたら窓ガラスにひびが入っていた」
「何もぶつけていないのに、ベランダのガラスが割れている」
といったことがあります。
突然ガラスが割れると、
「誰も触っていないのに、なぜ?」
「修理代は自分で払うの?」
「すぐ業者を呼んだ方がいい?」
と不安になりますよね。
市営住宅の修繕相談を受けていると、ベランダ側のサッシガラスについて連絡を受けることがあります。
その中で実際によく考える原因の一つが、熱割れです。
物をぶつけたような跡がなく、ガラスの端からひびが伸びている場合には、熱割れを疑う材料になります。
ただし、
「何もぶつけていない=必ず熱割れ」ではありません。
台風などによる飛来物、サッシの変形、戸車の不具合、ガラス端部への圧力、以前からあった小さな傷など、別の原因も考えられます。
そこでこの記事は
熱割れなのか
衝撃で割れたのか
サッシ側から力が加わったのか
という「原因を整理するための見方」に絞って説明します。
大切なのは、あなた自身で原因を確定することではありません。
最初に安全を確保し、割れ方と周囲の状況を残したうえで、市営住宅の担当窓口へ連絡してください。
修繕費の負担についても、ガラスの割れ方だけで決めるのではなく、自治体の修繕区分と実際の破損原因を確認して判断することになります。
- 最初にすることは「原因探し」ではなく安全確保です
- こんな状態なら担当窓口へ最初に伝えてください
- 窓ガラスが突然割れる原因は大きく分けて考えます
- 市営住宅のベランダ窓で考えたい「熱割れ」とは
- 熱割れが起こりやすくなる条件
- 熱割れなら、ひびはどこから始まるのか
- 熱割れと衝撃割れは「ひびの起点」を最初に見ます
- 「何もしていない」と聞いたときほど周囲を確認します
- 台風のあとに割れた場合は「台風だったから」で終わらせません
- 台風の前にはベランダの物を片付けてください
- 実際にあるのが「風で扉が閉まり、その衝撃で割れる」ケースです
- 飛来物による衝撃では「当たった場所」を探します
- 室内側からの衝撃も確認します
- もう一つ見落としたくないのが「サッシから加わる力」です
- 割れる前から窓が重かったなら必ず伝えてください
- サッシのねじを自分で調整するのは待ってください
- 担当窓口へ連絡する前に写真を撮っておくと説明しやすくなります
- 管理窓口には「割れました」だけでなく7つの情報を伝えます
- 私なら「事実」と「推測」を分けて伝えます
- 修理までガラスが枠に残っている場合
- 開口部を一時的に覆る場合も無理をしないでください
- 片付けに使う物も「ガラスを直接触らない」が基本です
- 原因確認前に全部きれいに片付けない方がよいこともあります
- 細かなガラス片は思った以上に残ります
- 市営住宅の窓ガラスは誰が修理代を負担するのか
- 熱割れらしく見えても、市負担とは限りません
- 台風で割れた場合も「災害だから無料」とは限りません
- 担当窓口へ確認する前に自分でガラス業者を手配するのは慎重に
- 窓ガラスが割れたときにやらない方がよいこと
- よくある質問
- 関連記事
- 情報源
最初にすることは「原因探し」ではなく安全確保です
窓ガラスが突然割れると、どうしてもひびを近くで見たくなります。
しかし、最初にすることは原因の確認ではありません。
人をガラスから離すことが先です。
特に、
- 子ども
- 高齢者
- ペット
がいる場合は、できれば別の部屋へ移動してください。
床に細かな破片が落ちている可能性もあります。
見た目には何もないように見えても、小さなガラス片は非常に見つけにくいため、素足では近づかない方が安全です。
底の厚い履物を使い、破損した窓はむやみに開閉しないようにします。
最初の行動はこの順番で考えてください
- 窓の周囲から人を離す
- 素足で歩かない
- 破損したサッシを動かさない
- 安全な位置から写真を撮る
- 市営住宅の担当窓口へ連絡する
特に注意したいのは、
「ひびがどこから始まっているのか確認しよう」
と思って、サッシを開けたり閉めたりすることです。
ガラスは一部が割れただけに見えても、内部ではひびが広がっています。
サッシを動かした瞬間にガラスが崩れる可能性もあるため、診断目的で何度も開閉する必要はありません。
こんな状態なら担当窓口へ最初に伝えてください
割れ方を説明するより先に、緊急性を伝えた方がよいケースがあります。
たとえば、
- ガラスが枠から外れかけている
- 大きな破片がぶら下がっている
- ベランダや共用部分へ落ちそう
- 下の階へ落下する可能性がある
- 雨が室内へ入っている
- 開口部が大きく、防犯上危険
- 強風が続いている
- サッシ自体が変形している
といった状態です。
この場合は、
「窓ガラスが割れています」
だけではなく、
「ガラスが外側へ落ちそうです」
「下に共用通路があります」
「雨が吹き込んでいます」
など、現在の危険を先に伝えると状況を理解してもらいやすくなります。
窓ガラスが突然割れる原因は大きく分けて考えます
市営住宅のガラスが割れたとき、私は最初から一つの原因に決めません。
まず、
熱
衝撃
サッシ側からの力
という大きな方向から見ていきます。
さらに必要であれば、天候や以前からの不具合も確認します。
| 考えられる原因 | 現場で確認したい特徴 |
|---|---|
| 熱による割れ | ガラス端部から始まるひび、明確な衝突痕がない |
| 屋外からの衝撃 | 衝突したような点、欠け、放射状のひび |
| 室内からの衝撃 | 家具や家電との接触位置、局所的な損傷 |
| サッシからの圧力 | 枠の変形、開閉不良、戸車の異常 |
| 強風による急激な開閉 | 扉や窓が勢いよく閉まった状況 |
| 建物の動き | ほかの建具にも変化がある |
| 以前からの傷 | 端部の欠け、古いひび、腐食など |
この表は原因を確定するためのものではありません。
あくまで、
「どこを確認すればよいか」
を整理するための目安です。
市営住宅のベランダ窓で考えたい「熱割れ」とは
ベランダのサッシガラスについて、
「何も当たっていないのに割れた」
という相談を受けた場合、確認する原因の一つが熱割れです。
熱割れとは、ガラスの一部分だけが温まり、別の部分との温度差が大きくなったことで内部に力が生じ、割れる現象です。
LIXILは、直射光を受けた部分が高温になって膨張する一方、サッシにのみ込まれた端部や影になった部分は温度が上がりにくいため、その差によってガラス周辺部に力が生じ、強度を超えると熱割れが発生すると説明しています。
YKK APも同様に、直射日光が当たる部分と窓枠に隠れている部分との温度差による膨張差が、ガラスの強度を超えることで熱割れが起こると案内しています。
つまり、
暑いからガラス全体が熱くなって割れる
という単純な話ではありません。
重要なのは、
一枚のガラスの中で温度差が生じること
です。
熱割れが起こりやすくなる条件
熱割れを考えるときには、ガラスだけを見るのではなく、その周囲も確認します。
たとえば、
- 日なたと日陰が一枚のガラス内にはっきり分かれている
- カーテンやブラインドがガラスへ近づきすぎている
- 家具や段ボールなどを窓際へ置いている
- 暖房や冷房の風が一部分へ直接当たっている
- ガラスへフィルムやシールなどを貼っている
- 室内側へ熱がこもりやすくなっている
- ガラス端部に傷みが見える
といった状態が確認材料になります。
LIXILやYKK APも、冷暖房の風を直接当てること、フィルム類を貼ること、カーテンなどを密着させることなどが熱割れにつながる条件になり得ると案内しています。
特に網入りガラスは熱割れについて相談されることがあります。
YKK APは、網入りガラスについて、金網が入った構造やガラス端部の強度などの関係から、一般的な板ガラスより熱割れが生じやすいと説明しています。
熱割れなら、ひびはどこから始まるのか
現場でまず見たいのは、
「ひびの起点」
です。
LIXILは熱割れの特徴として、ガラスのエッジ部分から直角に近い方向へ割れが始まり、その後、蛇行する割れ方を示しています。
そのため、
- ひびがガラスの端から始まっている
- 最初の線が端に対して直角に近い
- 途中から曲がっている
- ひびが枝分かれしている
- 明確な衝突点が見つからない
といった状態なら、熱割れを考える材料になります。
ここで非常に大切なのが、
「熱割れに似ている」と「熱割れである」は同じではない
ということです。
私たちも現場では、一本のひびだけを見て負担区分まで決めるような見方は避けます。
ひびの起点。
割れ方。
サッシの状態。
天候。
室内の状況。
入居者から聞いた発生時の話。
こうした情報を重ねて考える必要があります。
熱割れと衝撃割れは「ひびの起点」を最初に見ます
突然割れたときに判断が難しいのが、
熱割れなのか、何かが当たったのか
という違いです。
目安として次のように整理できます。
| 確認する場所 | 熱による割れを疑う材料 | 衝撃を疑う材料 |
| ひびの始まり | ガラス端部 | ガラス面の途中 |
| 衝突した跡 | はっきりしないことが多い | 欠けやへこみが見える場合がある |
| ひびの広がり | 端から伸びる | 衝突点から周囲へ伸びる場合がある |
| 周囲の環境 | 日射、室温、暖房、遮蔽物 | 飛来物、家具、物品など |
| サッシ | 端部の状態も確認する | 衝撃だけなら異常がないこともある |
| 発生前の状況 | 温度条件を確認 | 物音や接触状況を確認 |
ただし、これも絶対的な判定表ではありません。
衝撃による割れでも複雑なひびになることがあります。
反対に、熱割れでも一見しただけでは判断しにくいケースがあります。
そのため、
割れ方+周囲の状況
を一緒に見ることが大切です。
「何もしていない」と聞いたときほど周囲を確認します
修繕相談では、
「何もしていないのに割れました」
という話を聞くことがあります。
これは、入居者が嘘をついているという意味ではありません。
本人が気付いていない原因もあるからです。
たとえばベランダ側のガラスなら、
- 外から小さな物が飛んできた
- 鳥などが接触した
- 前から小さな傷があった
- サッシ側から圧力が加わった
など、生活している人には分かりにくい原因も考えられます。
だからこそ、
「何かぶつけませんでしたか?」だけで終わらせない
ようにしています。
台風のあとに割れた場合は「台風だったから」で終わらせません
台風のあとに、
「朝見たらベランダのガラスが割れていた」
というケースもあります。
この場合には飛来物が考えられます。
強風によって、
- ベランダに置かれていた物
- 周辺から飛んできた物
- 小石
- 物干し用品
- その他の屋外物品
などがガラスへ当たる可能性があります。
気象庁も台風への備えとして、風が強くなる前に、飛ばされそうな物を固定するか屋内へ入れるよう案内しています。
実務上ここで重要なのは、
「台風の日に割れた=自然災害だから自動的に管理者負担」
とは限らないことです。
何が原因だったのか。
事前にどのような状態だったのか。
入居者側で通常求められる安全対策が行われていたか。
こうした点も確認材料になることがあります。
自治体によって修繕区分は異なるため一律には言えませんが、ある自治体では、市が費用負担する区分の修繕であっても、入居者の責任によって修繕が必要になった場合には入居者負担となる旨を案内しています。
つまり、
災害が発生したこと
と、
誰が修繕費を負担するか
は分けて確認した方がよいということです。
台風の前にはベランダの物を片付けてください
これは窓ガラスの修繕だけでなく、集合住宅全体の安全にも関わります。
台風が近づいているときは、
- 植木鉢
- バケツ
- サンダル
- 清掃道具
- 物干し用品
- 軽い収納用品
- その他、風で動きそうな物
を確認してください。
飛びそうな物は、風が強くなる前に安全な場所へ移します。
強風になってからベランダへ出て片付けるのは危険です。
気象庁も、屋外での台風対策は風雨が強まる前に済ませ、強風時の屋外活動を避けるよう注意を促しています。
窓についても、
きちんと閉めて施錠しておく
ことが基本になります。
実際にあるのが「風で扉が閉まり、その衝撃で割れる」ケースです
台風や強風というと、
「何かが外から飛んできて割れる」
というイメージを持つかもしれません。
しかし、それだけではありません。
実際の修繕対応では、強風時に勝手口などを開けた状態にしていたところ、風にあおられて扉が勢いよく閉まり、その衝撃によってガラスが破損した事例もあります。
この場合、
風が原因だった
こと自体は間違いではありません。
ただ、
「自然の風だから全部災害扱い」
という整理にはならない可能性があります。
扉が開いたままだったのか。
強風が予想されていたのか。
通常の使い方がされていたか。
どのような経過で割れたのか。
こうした事実を確認したうえで負担区分を判断することになります。
入居者側の使用方法が直接破損につながったと判断されれば、自治体の基準によっては入居者側の負担となる可能性があります。
したがって、台風時のガラス破損について連絡するときは、
「台風で割れました」
だけではなく、
「いつ、どのような状態で、どう割れたのか」
まで伝えてください。
飛来物による衝撃では「当たった場所」を探します
飛来物などが原因の場合は、熱割れとは違う特徴が見えることがあります。
たとえば、
- 一か所だけ強く欠けている
- 小さなくぼみのような場所がある
- ある一点を中心にひびが広がっている
- 窓の近くに物が落ちている
- 大きな衝突音がした
といった状況です。
もちろん、これだけで飛来物と断定はできません。
しかし、
「何かが当たった起点が存在するか」
を見ることは重要です。
近くに物が落ちている場合は、すぐ捨てない方がよいでしょう。
危険がなければ、まず写真を残します。
ただし、鋭利な物やガラス片を素手で拾ってまで確認する必要はありません。
室内側からの衝撃も確認します
屋外から何か飛んできた形跡がなくても、室内側からガラスへ力が加わっている場合があります。
たとえば、
- 家具を移動した
- 掃除道具が当たった
- 家電が接触した
- 物を倒した
- 子どもの遊具が当たった
といった状況です。
入居者本人に心当たりがなくても、同居している家族が気付かないうちに接触させていることもあります。
そのため、
「誰か割りましたか?」
と聞くだけではなく、
ガラスの周囲に何が置かれていたか
を確認する方が原因整理には役立ちます。
もう一つ見落としたくないのが「サッシから加わる力」です
熱割れでも、飛来物でもない。
そんなときに考えたいのが、
サッシや建具側からガラスへ力が加わっていないか
という点です。
ガラスはサッシの中へ納まっています。
そのため、サッシ枠が変形したり、建具の位置関係が変わったりすると、ガラス端部へ力が集中する可能性があります。
現場で確認したいのは、割れた瞬間だけではありません。
むしろ、
割れる前に窓の動きがおかしくなかったか
が重要です。
割れる前から窓が重かったなら必ず伝えてください
次のような症状が以前からなかったか、思い出してみてください。
- 窓が以前より重かった
- 開ける途中で引っ掛かっていた
- 閉めても少し浮いていた
- 鍵が掛かりにくかった
- サッシを持ち上げないと閉まらなかった
- 開閉時に異音がしていた
- 建具がどこかへ擦れていた
- 以前からガタつきがあった
こうした情報は、ガラス破損の原因を考えるうえで役立ちます。
たとえば、
「今日突然ガラスが割れた」
という情報だけなら、熱や衝撃を中心に考えます。
ところが、
「半年前から窓が重かった」
という情報が追加されると、サッシや戸車を含めて確認する必要が出てきます。
原因の判断は、
割れた瞬間だけを見るのではなく、それまでの経過を見る
ことが大切です。
サッシのねじを自分で調整するのは待ってください
窓の開閉が悪いと、
「戸車を調整すれば直るのでは?」
と思うかもしれません。
ただ、ガラスがすでに割れている状態で自己調整するのはおすすめしません。
ねじを回したことで建具の位置が変われば、ガラスへ別方向の力が加わる可能性があります。
また、原因確認前にサッシの状態を変えてしまうと、
破損時にどのような状態だったのか
が分かりにくくなります。
まず写真を残し、担当窓口へ症状を伝えてください。
担当窓口へ連絡する前に写真を撮っておくと説明しやすくなります
ガラスの修繕相談では、写真がかなり役立ちます。
ただし一枚だけではなく、
遠くから全体
近くからひび
周囲の状況
という順番で残すと分かりやすくなります。
① 部屋と窓の位置が分かる写真
最初は少し離れた位置から撮ります。
どの部屋の、どの窓なのかが分かる写真です。
いきなりひびだけを拡大すると、全体の位置関係が分からなくなります。
② ガラス全体の写真
次に、一枚のガラス全体が写るように撮ります。
確認したいのは、
ひびがどこから始まり、どこまで伸びているか
です。
③ ひびの始まりを撮る
安全な範囲で、
- ガラス端部から始まっているのか
- 中央付近に起点があるのか
- 欠けがあるのか
- 衝突したような跡があるか
を記録します。
ガラスへ触ってまで確認する必要はありません。
④ 室内側も撮る
熱割れの条件を確認するときには室内側も役立ちます。
- カーテン
- ブラインド
- 家具
- 家電
- 暖房器具
- ガラスに貼られている物
などとの位置関係が分かる写真を残します。
⑤ サッシとレールを撮る
ここでは、
- 枠の変形
- レールの状態
- さび
- 汚れ
- 水がたまった形跡
- 建具のずれ
などを確認します。
⑥ 屋外やベランダ周辺を撮る
台風後や強風後であれば、
- 周囲に落ちている物
- 移動している物
- ベランダ用品
- 外側から当たった可能性がある物
なども記録しておきます。
ただし、割れたガラスの外側を見るために身を乗り出すような行為は絶対に避けてください。
写真より安全の方が優先です。
管理窓口には「割れました」だけでなく7つの情報を伝えます
電話するときは、次の内容を整理しておくと話が早くなります。
1.どこの窓か
団地、棟、住戸、部屋、ベランダ側など、場所が分かる情報を伝えます。
2.いつ気付いたか
「朝起きたら割れていた」
「台風通過後に気付いた」
「夕方までは異常がなかった」
など、時間関係を伝えます。
3.現在危険か
ガラスが落下しそうなのか。
枠に残っているのか。
大きな穴が開いているのか。
ここは重要です。
4.雨や風が入っているか
修理の緊急性に関係します。
5.何か当たった心当たりがあるか
心当たりがなければ、
「特にありません」
で構いません。
分からないことを無理に推測する必要はありません。
6.以前から窓の不具合がなかったか
開閉不良や引っ掛かりがあれば伝えます。
7.写真を送れるか
写真があると現状を共有しやすくなります。
私なら「事実」と「推測」を分けて伝えます
窓ガラスの相談では、この伝え方がかなり重要です。
たとえば、
「熱割れです」
と最初から決めつける必要はありません。
それより、
確認できた事実
として、
「物をぶつけた心当たりはありません」
「ひびはガラスの端から伸びています」
「昨日までは割れていませんでした」
「窓は以前から少し重かったです」
と伝える方が役立ちます。
そのうえで、
「熱割れの可能性はありますか?」
と相談する方が原因を整理しやすくなります。
自分で診断名を決めるより、
見たこと・起きたことを正確に伝える
方が大切です。
修理までガラスが枠に残っている場合
ひびが入っていても、ガラス全体がサッシに残っていることがあります。
この場合、
「落ちそうだから手で押して確認する」
のは避けてください。
見た目では安定していても、ひびが広がっている可能性があります。
また、
「テープを貼れば安全だろう」
と思ってガラスへ強く押し付けるのも危険です。
作業中に崩れることがあります。
特に表面に凹凸があるガラスなどは、テープが十分に密着しない場合もあります。
まず担当窓口へ状況を伝え、応急処置の方法を確認してください。
開口部を一時的に覆る場合も無理をしないでください
ガラスが落ちて穴が開いてしまうと、
「雨が入るから何とか塞がないと」
と思いますよね。
必要な場合には養生することもありますが、安全にできる範囲に限ります。
担当窓口から指示を受けたうえで作業するなら、壊れたガラスそのものへ力を加えるより、周囲の安定した窓枠側を利用してシートなどを固定する考え方になります。
ただし、
- 高層階
- 外側からしか作業できない場所
- 強風中
- ガラスが今にも落ちそうな状態
では、自分で作業しないでください。
片付けに使う物も「ガラスを直接触らない」が基本です
安全上どうしても破片を移動する必要がある場合は、
- 耐切創性を考えた手袋
- 底の厚い靴
- 清掃用トング
- 火ばさみなどの長い道具
- 丈夫な容器
- 必要に応じた養生材
などを使います。
ただし、保護具を着ければガラスを握ってよいわけではありません。
軍手程度では細いガラス片が貫通する可能性があります。
耐切創性のある手袋であっても完全ではありません。
基本は、
破片を手で握らない
ことです。
原因確認前に全部きれいに片付けない方がよいこともあります
割れたらすぐ掃除したくなります。
もちろん、人が踏む場所へ落ちた破片などは安全確保が最優先です。
ただし、原因確認に必要な状況まで全部処分すると、
- どこに破片が落ちていたか
- 何か飛来物があったか
- どの方向から衝撃が加わったか
といった手掛かりが失われる場合があります。
そのため、
まず写真を撮る
↓
危険な範囲だけ安全に片付ける
↓
必要に応じて管理窓口の確認を受ける
という順番が分かりやすいでしょう。
細かなガラス片は思った以上に残ります
大きな破片を拾って終わりではありません。
確認したい場所は、
- サッシ周辺
- 床
- カーペット
- カーテンの裾
- 布団
- ベランダ
- 履物の裏
などです。
特に靴底へガラス片が刺さると、別の部屋へ運んでしまうことがあります。
子どもやペットは、清掃が終わるまで近づけない方が安心です。
処分方法については、あなたの自治体が定めるごみ分別ルールを確認してください。
市営住宅の窓ガラスは誰が修理代を負担するのか
ここが一番気になるところではないでしょうか。
結論からいうと、
全国の市営住宅で同じルールではありません。
自治体ごとに修繕区分が定められています。
さらに、
どのような原因で割れたか
によって扱いが変わる場合があります。
ある自治体では、修繕について市負担と入居者負担の区分があり、市負担に分類される修繕であっても、入居者の責任が原因の場合には入居者負担になると案内されています。
一方、別の公営住宅ではガラスそのものを入居者負担の修繕として定めているケースもあります。
実際ある自治体では、破損ガラスの取り替えが入居者側の負担範囲として記載されています。
県営住宅と市営住宅は制度や管理主体が異なるため、この規定を全国の市営住宅へそのまま当てはめることはできません。
ここから分かるのは、
「熱割れなら無料」
「自然に割れたなら市負担」
「ガラスだから必ず自己負担」
と全国共通で決めることはできない、という点です。
あなたが住んでいる住宅の修繕区分を確認してください。
熱割れらしく見えても、市負担とは限りません
ここは誤解しやすいところです。
たとえば、
- 明らかな衝撃痕がない
- 端からひびが入っている
- 網入りガラス
- 日差しが強い場所
という条件がそろっていたとしても、
その時点で修繕費負担まで確定するわけではありません。
熱割れの判断。
ガラスの修繕区分。
建物側の問題の有無。
入居者の使用状況。
それぞれを分けて考える必要があります。
だからこそ、私はまず写真と状況を残してから担当窓口へ連絡することをおすすめします。
台風で割れた場合も「災害だから無料」とは限りません
これも同じです。
たとえば完全に外部から飛来した物による被害なのか。
自宅のベランダに置かれていた物が飛んだのか。
強風時に開口部を開けた状態にしていたのか。
扉が風で急閉したのか。
原因によって事実関係が違います。
台風そのものを防ぐことはできません。
しかし、気象庁が案内しているように、
- 窓を閉める
- 施錠する
- 飛びそうな物を固定する
- 屋内へ入れる
といった事前対策はできます。
そのため、災害時の破損では、
「予測できない自然現象だった部分」
と、
「事前にできた安全対策」
を分けて確認することがあります。
最終的な負担判断については、住宅を管理している自治体や指定管理者へ確認してください。
担当窓口へ確認する前に自分でガラス業者を手配するのは慎重に
ガラスが割れると、検索してすぐ修理業者へ頼みたくなると思います。
しかし市営住宅の場合、ここは少し待ってください。
修繕区分によっては、
- 市側が業者を手配する
- 指定された方法で対応する
- 入居者自身で業者へ依頼する
など、対応方法が異なる可能性があります。
先に自分で契約してしまうと、
「本来は管理者へ連絡する案件だった」
ということが後から分かる場合もあります。
緊急時を除き、
担当窓口へ確認
↓
負担区分を確認
↓
業者手配方法を確認
↓
修理
という順番で進める方が安全です。
窓ガラスが割れたときにやらない方がよいこと
最後に、現場で特に避けてほしい行動をまとめます。
割れたガラスを手で押す
強度を失っている可能性があります。
ガラスを自分で外す
突然崩れる危険があります。
原因を調べるため何度も窓を開閉する
サッシから別の力が加わる可能性があります。
サッシのねじや戸車を先に調整する
破損時の状態が分からなくなる場合があります。
写真を撮る前に全部片付ける
原因を考える手掛かりがなくなることがあります。
割れたガラスへ力をかけて大量のテープを貼る
作業中に崩れる危険があります。
高層階の外側から養生する
転落事故につながるため行わないでください。
強風中にベランダへ出る
台風対策は風が強くなる前に済ませます。
担当窓口へ確認せず修理契約をする
市営住宅では修繕区分の確認が必要です。
よくある質問
何もぶつけていないのにガラスが割れることはありますか?
あります。
熱割れのほか、ガラス端部の傷、サッシ側から加わる力なども考えられます。
LIXILやYKK APも、物をぶつけなくても温度差によってガラスが割れる熱割れについて案内しています。
熱割れかどうか、自分で見分けられますか?
ある程度の手掛かりは確認できます。
特に、
ひびがガラス端部から始まっているか
は重要です。
ただし、割れ方だけで確定することはおすすめしません。
周辺状況やサッシの状態まで含めて確認します。
真ん中に衝突した跡があれば飛来物ですか?
飛来物や何らかの衝撃を考える材料になります。
ただ、それだけで原因が確定するとは限りません。
周囲の状況や発生時の情報も合わせて確認してください。
台風の翌日に割れていたら災害扱いになりますか?
一律には判断できません。
飛来物など自然現象による破損なのか、入居者側の物品や使用状況が関係していたのかなどを確認する場合があります。
費用負担は、あなたが住んでいる市営住宅の修繕区分と実際の原因によって判断されます。
ベランダに物を置いたままでも大丈夫ですか?
強風が予想される場合、飛ばされる可能性のある物は事前に安全な場所へ移してください。
気象庁も、台風時には風で飛ばされそうな物を固定するか屋内へ格納するよう案内しています。
窓が以前から重かったことは関係しますか?
原因を考える重要な情報です。
サッシ、戸車、枠などの状態を確認する材料になります。
担当窓口へ必ず伝えてください。
ガラスへ養生テープを貼ってもよいですか?
割れた後のガラスへ強く押し付けて貼る作業は危険です。
応急処置が必要なら、現在の状態を管理窓口へ伝え、安全な方法を確認してください。
なお、台風が来る前の予防対策と、すでに割れたガラスへの応急処置は別の話です。
夜間や休日に割れた場合はどうしますか?
まず人を窓から離してください。
そのうえで、住宅に緊急連絡先が設定されている場合は連絡します。
特に、
- ガラスが落下しそう
- 共用部分へ危険が及ぶ
- 雨が大量に入る
- 防犯上大きな問題がある
ときは、危険な状況を最初に伝えてください。
関連記事
- 市営住宅の窓ガラス・サッシ総合ガイド
- 市営住宅で困ったときの相談先まとめ
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情報源
LIXIL「窓(サッシ)のガラスが自然に割れた(熱割れ)」
LIXIL公式情報
YKK AP「ガラスの『熱割れ』現象について」
YKK AP公式情報
気象庁「自分で行う災害への備え」
気象庁公式情報


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